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矯正の前に虫歯治療と歯磨き指導をする理由

コラム

「早く装置をつけたいのに、まず虫歯を治してからと言われた」——矯正相談のあと、そう感じる方は少なくありません。せっかく決心したのに足踏みしているようで、もどかしいと思います。

実はこの順番には、矯正期間中のトラブルを減らし、計画どおりに歯を動かすための理由がはっきりあります。装置が入った後の口の中は、それまでとは条件が変わるからです。

この記事では、矯正前に虫歯治療とブラッシング指導を行う理由、治療の順番、準備にかかる期間の目安をまとめます。

装置が入ると、口の中の条件が変わる

矯正装置は歯に固定されたり、歯を覆ったりします。それによって、歯みがきの難易度と汚れのたまり方が変わります。

  • ワイヤー矯正では、ブラケット(歯に接着する小さな装置)とワイヤーのまわりに食べかすやプラーク(細菌のかたまり)が残りやすくなります
  • マウスピース型の装置では、装着中は唾液が歯の表面に行き渡りにくくなります。唾液には汚れを洗い流したり、溶け出したミネラルを戻したりする働きがあります
  • 装置に配慮した磨き方に慣れるまで、どうしても数週間はかかります

つまり、矯正中は「今までと同じ磨き方では届かない場所」が増えるということです。だからこそ、装置がつく前に虫歯を片づけ、磨き方を身につけておく意味があります。

すでにある虫歯を放置したまま始めると

装置を接着した部分に虫歯があると、途中で装置を外して治療し、また付け直す必要が出ることがあります。ごく小さな処置で済み、進行にほとんど影響しないこともあります。一方で、装置を外している間は歯の動きが計画からずれ、全体のスケジュールを組み直すケースもあります。マウスピース型の場合、歯の形が変われば装置の適合が変わり、作り直しが必要になることもあります。

ブラケットとワイヤーを装着した実際の歯並び

ブラッシング指導が「装置の前」である理由

歯みがきの指導は、装置が入ってからでも受けられます。それでも矯正歯科の現場で開始前に時間をとるのは、次のような理由からです。

  • 今のご自身の磨き癖(どこが残りやすいか)を、装置がない状態で正確に把握できる
  • 装置がつくと歯ぐきが腫れやすくなる方がいるため、あらかじめ歯ぐきの状態を整えておきたい
  • 矯正中に起きやすい脱灰(だっかい:歯の表面のミネラルが溶け、白く濁って見える状態)を減らしたい

脱灰は、程度はさまざまです。装置を外したあと再石灰化して目立たなくなる軽いものもあれば、白い跡が残ったり、虫歯として処置が必要になったりする場合もあります。起きるかどうかは磨き方や食習慣、もともとの歯質などが関わり、事前の準備だけで完全に防げるものではありません。それでも、始める前に磨き方を整えておくことは、現実的にできる対策のひとつです。

歯ぐきの状態も見ています

歯は骨に支えられ、その骨と歯ぐきの状態が良好であることが、歯を動かす前提になります。歯ぐきに炎症があるまま矯正の力を加えると、歯を支える組織への負担が大きくなる可能性があります。軽度の炎症であればクリーニングと毎日の歯みがきで数週間ほどで落ち着くことが多い一方、歯周病が進んでいる場合は、先に歯周治療を優先し、矯正の開始時期や動かし方そのものを見直すこともあります。

スタッフによる診療・ケアの様子

矯正前の流れと、準備期間の目安

矯正専門クリニックでは虫歯治療を行わないことが多く、かかりつけの一般歯科と連携して進めます。おおまかな流れは次のとおりです。

  • 相談・精密検査(レントゲン、CT、口腔内スキャン、写真、模型)
  • 虫歯・歯周病のチェックと、必要な処置の洗い出し
  • かかりつけ歯科での虫歯治療・歯周治療・クリーニング
  • ブラッシング指導と、磨けているかの確認
  • 治療計画の説明、装置の製作・装着

準備にかかる期間は、小さな虫歯が1〜2本なら数週間で整うこともありますし、複数本の治療や歯周治療が必要なら数か月かかることもあります。「どこまで治してから矯正に入るか」は状況によって変わるため、検査結果をもとに順番を相談していきます。

検査でわかること、専門医が見るポイント

精密検査では、見た目の歯並びだけでなく、レントゲンやCTで歯を支える骨の厚み、歯根(歯の根)の長さや向き、詰め物の下の状態などを確認します。たとえば、大きな詰め物やかぶせ物が入っている歯は、装置の接着や歯の動き方に配慮が必要です。神経を取った歯があれば、動かす力のかけ方を慎重に検討します。こうした情報を整理したうえで、「先に治すもの」「矯正と並行してよいもの」「矯正後に見直すもの」を分けて計画を立てます。この仕分けができるのが、検査を行う意味です。

歯科用レントゲン・CT撮影装置

まとめ

矯正前の虫歯治療とブラッシング指導は、遠回りのようでいて、装置が入った後のトラブルや計画の組み直しを減らすための準備です。装置がつくと磨きにくい場所が増え、歯ぐきや歯の表面の条件も変わるため、その前に口の中を整えておく意味があります。

必要な処置の量は人それぞれで、数週間で整う方もいれば、数か月かける方もいます。まずは検査で今の状態を把握し、どの順番で進めるのが自分に合っているかを一緒に確認していくところからで大丈夫です。

ご自身の場合はどうか気になった方は、初診相談(無料)でご確認いただけます。

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執筆:アイコネクトの衛生士チーム/監修:院長 冨田 大介(矯正歯科認定医)

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著者紹介

歯学博士 院長

院長 冨田 大介(歯学博士)

現在、矯正治療を受診する方法の多様化が進んでいます。幅広い矯正治療方法の中から歯並びや患者様のご希望に合わせた治療法を選択しご提供できるのが、矯正治療を専門の医師医師ならではの特徴です。 当院では、矯正歯科治療を専門に行う歯科医師が、各分野専門の医師の在籍する一般歯科と連携し、矯正治療を行います。

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