透明で取り外し可能なクリアアライナー型矯正装置は、目立ちにくい矯正治療として幅広い年代に支持されています。
しかし、すべての方に適応できるわけではなく、症状や生活習慣によっては「この方法では難しい」と診断されることもあります。
「クリアアライナー型矯正装置が無理なら、もう矯正できないのだろうか…」
そう不安に思う方も少なくありません。
結論から言えば、クリアアライナー型矯正装置がNGでも代替となる治療法は複数存在します。
本記事では、代表的な「アライナー非適応ケース」と、そこで検討される代替矯正法について、費用・期間・リスクまで詳しくご紹介します。
クリアアライナー型矯正装置がNGとなる代表的なケース
まずは、どのような状況で「アライナーでは難しい」と判断されるのかを整理してみましょう。
1. 重度の歯周病がある場合
歯ぐきや骨に炎症がある状態で矯正力を加えると、症状が悪化するリスクがあります。中等度〜重度の歯周病は先に治療を行い、安定してから矯正の可否を検討します。
2. 顎の骨格に大きな不調和がある場合
出っ歯や受け口など骨格性の不正咬合は、歯だけを動かすアライナーでは限界があります。顎の手術を伴う外科的矯正治療が必要になるケースもあります。
3. 装着時間を守れない生活習慣
アライナーは自己管理が前提。1日20〜22時間以上装着できない場合は、治療効果が十分に得られません。
代替矯正法の選択肢
では、クリアアライナー型矯正装置が難しい場合、どのような治療が検討されるのでしょうか。ここでは主要な代替矯正法を紹介します。
表側矯正(セラミックブラケット・メタルブラケット・)
- 特徴:歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーで力を加える方法。
- メリット:幅広い症例に対応可能で、大きな歯の移動や複雑な咬合改善もできる。
- デメリット:装置が見えるため審美性にやや劣る。
- 費用:60万〜100万円程度。
- 治療期間:2〜3年程度。
- 通院回数:1か月ごとに24〜36回程度。
裏側矯正(リンガルブラケット)
- 特徴:装置を歯の裏側に装着するため、外からはほぼ見えない。
- メリット:審美性に優れ、仕事や学校で目立たない。
- デメリット:舌に違和感があり、発音が慣れるまで時間がかかる。費用も比較的高額。
- 費用:100万〜150万円程度。
- 治療期間:2〜3年程度。
部分矯正
- 特徴:前歯や気になる部位だけを動かす治療。
- メリット:短期間・比較的低費用で改善が可能。
- デメリット:咬み合わせ全体の改善はできない。適応は軽度の症例に限られる。
- 費用:10万〜45万円程度。
- 治療期間:6か月〜1年半程度。
外科的矯正治療
- 特徴:骨格に大きな不調和がある場合に、手術で顎の位置を改善したうえで矯正治療を行う。
- メリット:重度の出っ歯や受け口、顔の非対称に対応できる。
- デメリット:入院・全身麻酔・回復期間が必要。費用は高額。
- 費用:医院によって異なり、場合によっては保険適用(顎変形症など)となることもある。
費用を抑える工夫
代替矯正法を選ぶ場合でも、費用面は重要なポイントです。
- 医療費控除を活用する
- 分割払いやデンタルローンを検討する
- 症例モニター制度を利用する
これらを組み合わせることで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
治療を受ける際に知っておきたいリスク・副作用
矯正治療全般に共通して、以下のようなリスクや副作用がある点も理解しておきましょう。
- 歯の移動に伴う痛みや違和感
- 装置による口内炎や違和感
- 清掃不良による虫歯や歯周病のリスク
- 治療後の後戻り(リテーナー使用が重要)
- 治療計画どおりに進まない可能性
医院選びのポイント
- 料金体系が明確か(総額制か分割か、追加費用の有無)
- 精密検査と診断が丁寧か
- 矯正専門医や認定医が在籍しているか
- カウンセリングで十分な説明があるか
医院によって費用や方針が異なるため、複数の医院で相談を受けるのも一つの方法です。
まとめ
- クリアアライナー型矯正装置は万能ではなく、適応外のケースも存在します。
- 適応外となるのは、重度の歯周病、骨格性不正咬合、大きな歯の移動が必要な症例、インプラント多数、埋伏歯、自己管理困難な場合などです。
- 代替法としては、表側矯正・裏側矯正・部分矯正・外科的矯正治療などがあります。
- 治療はすべて自由診療であり、一般的に期間は2〜3年、通院回数は24〜36回程度が目安です(部分矯正は半年〜1年半程度)。
- 費用は方法により10万〜150万円程度と幅があります。
- 治療には痛みや不快感、虫歯リスク、後戻りの可能性といった副作用も伴うため、事前の十分な説明が欠かせません。
「クリアアライナー型矯正装置ができない」と言われても、まだ選択肢は残されています。大切なのは、自分の症状やライフスタイルに合った方法を、専門医の診断のもとで見つけることです。

監修ドクター:冨田 大介
略歴
大阪歯科大学卒業
東京歯科大学勤務(研修医)
昭和大学歯科矯正学講座 入局
昭和大学大学院 博士号取得
昭和大学歯科病院 助教(歯科)
都内複数一般歯科医院にて
矯正科担当医として勤務
白金高輪矯正歯科 副院長
医療法人社団因幡会 矯正科医局長
資格
日本矯正歯科学会 認定医
歯学博士
所属学会
日本矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
日本スポーツ歯科医学会
