前歯だけの矯正とは?
「前歯のガタつきが気になるけれど、全体矯正は費用も時間もかかりそう…」
「笑ったときに見える部分だけをきれいにしたい」
このような理由から、前歯だけを対象とした部分矯正を希望される方が増えています。
その中でも透明な装置である**クリアアライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)**は、目立ちにくく取り外しもできるため人気の治療法です。
ただし、すべての症例に適しているわけではなく、費用や治療期間も症状によって変わります。本記事では、前歯だけのクリアアライナー型矯正装置について、費用・期間・メリット・注意点を徹底的に解説します。
前歯だけのクリアアライナー型矯正装置の特徴
1. 審美性に配慮できる
透明なアライナーを使用するため、装着中もほとんど目立ちません。仕事や学校など、人前に出る機会が多い方に適しています。
2. 取り外し可能で衛生的
食事や歯磨きの際に外せるため、従来のワイヤー矯正に比べて口腔清掃がしやすく、虫歯や歯周病のリスクを抑えやすい特徴があります。
3. 前歯のみを動かすため比較的短期間
全体矯正に比べて動かす歯の数が限られるため、治療期間が短くなる可能性があります。
4. 適応に限界がある
軽度〜中等度の前歯の凸凹やすきっ歯に適していますが、大きな歯の移動やかみ合わせの改善が必要な場合は全体矯正やワイヤー矯正が適していることもあります。
5. アライナー自体は歯列全体を覆うタイプを使用する
費用の目安
前歯だけのクリアアライナー型矯正装置は自由診療となり、医院によって費用体系は異なります。
- 部分矯正(前歯のみ):35万〜55万円程度
- 全体矯正(奥歯まで含む):55万〜100万円程度
この費用には、初診料・検査料・診断料・装置代・調整料などが含まれる場合が多いですが、医院によっては別途かかることもあります。
また、分割払いやデンタルローンの利用ができるケースもあるため、支払い方法についても確認しておくと安心です。
費用を抑える工夫としては、以下のような方法があります。
- 医療費控除を活用する(年間10万円以上の医療費で確定申告可)
- モニター制度を利用する(症例提供で割引が適用されることがある)
- 分割払いや無金利ローンの有無を確認する
治療期間と通院回数
前歯だけのクリアアライナー型矯正装置は、動かす歯の範囲が限られているため、治療期間は約6か月〜1年半が一般的です。
全体矯正(2〜3年程度)に比べると短く済むことが多いですが、症例によってはさらに長期化する場合もあります。
- 通院回数:1〜2か月に1回が目安(6〜18回程度)
- 治療の流れ
- 初診相談・精密検査(写真・スキャン・X線撮影など)
- 診断・治療計画の立案
- アライナー装着開始
- 定期的な経過観察とアライナー交換
- 保定期間(リテーナー装着による後戻り防止)
- 初診相談・精密検査(写真・スキャン・X線撮影など)
適応できる症例とできない症例
適応しやすいケース
- 軽度の前歯の重なりやガタつき
- 前歯のすき間(空隙歯列)
- 過去に矯正治療を受けた後の軽い後戻り
適応が難しいケース
- 重度の歯周病がある場合
- 顎の骨格に問題がある場合(出っ歯・受け口など骨格性不正咬合)
- 大きな歯の移動が必要な場合(抜歯を伴うケースなど)
- 複数のインプラントが入っている場合
- 埋伏歯(歯ぐきや骨に埋まっている歯)がある場合
- 装着時間を守れないなど、自己管理が難しい場合
このような場合は、ワイヤー矯正・裏側矯正・外科的矯正治療などの選択肢が検討されます。
リスクと副作用
前歯だけのクリアアライナー型矯正装置にも、次のようなリスク・副作用があります。
- 歯の移動に伴う痛みや違和感
- アライナー装着中の発音のしにくさ
- 装着時間不足による治療期間の延長
- 清掃不良による虫歯や歯周病のリスク
- 装置の紛失・破損による追加費用
特に1日20〜22時間以上の装着を守らないと、予定通りに歯が動かず追加のアライナーが必要になり、費用や期間が増える可能性があります。
保定(リテーナー)の重要性
治療後は**保定装置(リテーナー)**を使用しなければ、歯が元の位置に戻る「後戻り」が起こります。
前歯矯正は短期間で終えられる反面、後戻りしやすいため、リテーナーを1〜2年程度、就寝時を中心に装着することが推奨されます。
医院選びのポイント
- 費用が明確に提示されているか
総額制か、追加費用が発生するかを確認しましょう。 - 検査・診断が丁寧か
精密検査を行い、適応の可否やリスクを説明してくれる医院を選ぶことが安心につながります。 - 矯正歯科学会の認定医や専門医が在籍しているか
専門知識を持つ医師の診断により、不要な治療やリスクを避けられる可能性があります。 - カウンセリングの充実度
治療内容や費用・期間・リスクについて、納得いくまで説明してくれるか確認しましょう。
まとめ
前歯だけのクリアアライナー型矯正装置は、軽度の歯並びの乱れを比較的短期間・低費用で改善できる可能性がある治療法です。
- 費用の目安:10万〜45万円程度
- 治療期間:6か月〜1年半程度
- 通院回数:1〜2か月に1回(6〜18回程度)
- リスク:痛み・違和感、虫歯リスク、装着時間不足による延長など
ただし、適応症例は限られており、骨格的な問題や大きな歯の移動が必要な場合は他の矯正治療が推奨されます。
治療は自由診療であり、必ず矯正歯科専門医による精密な診査・診断を受け、費用・期間・リスクを十分に理解したうえで選択することが大切です。

監修ドクター:冨田 大介
略歴
大阪歯科大学卒業
東京歯科大学勤務(研修医)
昭和大学歯科矯正学講座 入局
昭和大学大学院 博士号取得
昭和大学歯科病院 助教(歯科)
都内複数一般歯科医院にて
矯正科担当医として勤務
白金高輪矯正歯科 副院長
医療法人社団因幡会 矯正科医局長
資格
日本矯正歯科学会 認定医
歯学博士
所属学会
日本矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
日本顎変形症学会
日本口蓋裂学会
日本スポーツ歯科医学会
