歯科矯正治療ではお口の中のでこぼこ具合だけではなく、骨格の評価をして治療を行います。上顎前突は上顎が平均値よりも大きい状態のことを表します。また、下顎が平均よりも小さい状態も上顎前突と表します。
原因
上顎前突には機能性要因、骨格性要因、歯性要因と呼ばれる３種類の要因があります。
①機能性要因
成長期において、口腔習癖や鼻詰まりによってお口周りの筋肉の機能に異常がみられることで上顎前突になることがあります。そのため、癖を治す訓練を行ったり、原因となる病気の治療をしたりすることで原因の除去を行います。癖に関しては舌を前に出す、下唇を噛むなど上顎の歯を前に押すことで上顎前突になります。
②骨格的要因
１）上顎の過成長
上顎骨の成長が平均値よりも大きくなることです。遺伝的に大きくなる場合もありますが、癖によって上顎顎の成長を促進させてしまうことも要因となります。治療法としては、小児期の場合は上顎の成長を抑えてあげる装置（ヘッドギア）を用いて治療します。
２）下顎の劣成長
下顎骨の成長が平均値よりも小さくなることです。遺伝的に小さくなる場合もありますが、アデノイドが大きく呼吸がし辛いといった疾患が原因となることがあります。治療法としては小児期の場合は下顎の成長を促進してあげる装置（アクチバトール、咬合斜面板）を用いて治療します。
顎関節症が原因で下顎の大きさが大きく変わってしまう方もいらっしゃいます。成人女性に突然起こることが多いです。原因はわかっていません。この場合は注意深く矯正治療を行います。
③歯性要因
上顎の前歯が大きく唇側に傾斜していることで上顎前突になります。この症状も癖により引き起こされることが多いです。治療としては、奥歯を後ろに動かして前歯を内側へ入れてあげるスペースを作ってあげたり、歯を抜いてスペースを作るということが考えられます。
上顎前突の見分け方
①口を閉じた時、あごにしわが寄っている
②上の前歯と下の前歯が噛まない
③笑った時に上の前歯が被さっていることが原因で下の前歯が見えにくい
④口をポカンと開けている
上記に該当すると上顎前突の可能性があります。
骨格の大きさが歯列不正の原因となる場合、早期発見をしてあげることが重要です。癖を取り除き、成長期に治療を行うことで骨格のバランスを整えることができます。大人になってからも治療できますが、歯を抜いて治療する場合がとても多いです。中には手術をしないと治らないケースもあります。
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